瓜実条虫について
先日のことです。
私が勤務する動物病院で働くトリマーさんが
「飼っているわんちゃんのうんちから白いぶつぶつしたものが見える」
と私に相談してきました。
通常、このように言われた際に思い浮かぶのは
(なんか寄生虫でもいるのかな)
という感想めいた何かです。
本来ではこの時点である寄生虫を思い浮かばなければならないんでしょうね(笑)
残念ながら私は新卒5ヶ月目の底辺獣医師なので、基本ゴミみたいな知識しか持ちません。
正直なぜ国家試験を突破できたのか不思議でしょうがないです。
その辺の経緯はいずれ語るとして
とりあえずうんちの中を検査して虫の卵がいないか調べてみました。
結果、それらしきものはありませんでした。
症状も聞いてみると、寄生虫に感染しているかはグレーといった感じです。
とりあえず様子見…となりましたが、やっぱり不安なので
今回は備忘録がてら、今回は疑いが高い瓜実条虫という寄生虫について
軽くまとめてみようと思います。
ここから先は少しショックな画像もあるので苦手な方は注意してください。
概要:瓜実条虫とは?
前述の通り、わんちゃん、猫ちゃんの飼い主さんがうんちの中に白い何かがあると病院に来ることが多いです。
瓜実条虫(サナダ虫)の幼虫が潜んでいるノミの成虫を、グルーミングなどでわんちゃんや猫ちゃんが誤って取り込むと感染します。
症状は?
少数の寄生で無症状、多数で嘔吐、出血性下痢の症状がでます。
感染経路は?
瓜実条虫の虫卵を摂取したノミを口に含んでしまうことで感染が成立します。
わんちゃん猫ちゃんは自身の被毛の中にいるノミをグルーミングした際に口に含んでしまうことが多いみたいです。
診断方法は?
問診で、お尻を気にしているかを聞く。虫卵の一部が肛門から出るときに痒みを覚えるらしく、肛門周囲に脱毛が見られるそうです。
糞便検査では稀に虫卵が検出されます。顕微鏡ではなく実際のうんちを肉眼で観察し、虫体の一部を見つけた方が早そうです。
治療
内部寄生虫(瓜実条虫)には駆虫薬を使います。
商品名で言えばドロンシット、ドロンタールといったものを用います。
また同時にノミ、ダニの予防が重要です。
これらにはブロードラインを用いることが多いです。
予防
基本的には感染源であるノミの駆除を行うことが重要です。
家の中でノミが繁殖していると思われる箇所は徹底的に清掃しましょう。
また、前述のノミ・ダニ予防薬をしておくとさらに安心です。
疫学(なりやすい傾向)
・外で飼育しているわんちゃん、猫ちゃん
・ノミの予防をしていない
Q.人には感染する?
A.感染します。
わんちゃん猫ちゃん同様に経口感染します。よくあるケースが
・感染した動物とキスや口移しすることで感染
・ノミを潰したときに瓜実条虫の仔虫が手につき感染
・排泄物から感染
といったものです。
他の寄生虫症にも言えますが、基本的には動物と接触したら手をよく洗うのが無難ですね。
ここまで瓜実条虫についてまとめてきましたが、いかがだったでしょうか?
わんちゃん、猫ちゃんの寄生虫は他にも色々といるので
いつかまたまとめてみようかと思います。
この記事を見て寄生虫が気になった人がいればこちらの書籍もどうぞ。
それでは(^ω^)